陶器と磁器の違いをチェックしよう
器好きならぜひ知っておきたいのが、陶器と磁器の違い。陶器と磁器は、どちらも焼き物の種類の名前ですが、両者の名前は聞いたことがあっても、実際にその違いや見分け方を知っている方はそう多くないのではないでしょうか?
陶器と磁器の違いがわかれば、もっと器選びが楽しくなるはず。今回の記事を参考に、陶器と磁器、それぞれの特徴や両者の見分け方を知りましょう。
陶器と磁器。材料や質感、作り方の違いは?
まずは陶器とはどんなものなのかチェックしましょう。 はじめにチェックしておきたいのが、焼き物は大きく分けて陶器と磁器に分類できるということ。
両者の大きな違いは、材料にあります。こちらでは陶器がどんな材料、製法で作られているかをチェックしてみましょう。
陶器は土物、磁器は石物。原材料の違いで区別できる
一般的に、陶器は土物と呼ばれています。その理由は、陶器の原材料が「粘土」だから。陶器は地面を掘ったときにあらわれる粘土層からとれる粘土を主な材料として、作られています。粘土だけだとひび割れを起こしやすいので、ガラスの材料となるけい石や長石を混ぜて使います。
一方の磁器は石物と呼ばれます。主原料は陶石と呼ばれる石の粉。さきほどご紹介したけい石、長石を多く含有する原料です。こちらに粘土を混ぜて、粘りを与えてから使用します。
[aside type=”normal”] まとめると
・陶器:土物(粘土メインで石を混ぜる)
・磁器:石物(石メインで粘土を混ぜる)
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陶器と磁器の質感の違いは?
粘土を主原料とする陶器は、たたくと「コン」という鈍い音がし、土の素朴さや温かさを感じる、どこかほっとするような質感です。
一方の磁器は、たたくと「カンカン」「キーン」と高く澄んだ音がします。これは陶石を主原料とする磁器が、焼成の段階で半ガラス質となるため。
陶器と磁器。作り方の違い
陶器と磁器では、焼成温度に違いがあります。陶器の焼成温度は800~1250℃、磁器は1200~1400℃。磁器の方が高い温度で焼成するんですね。
また、焼成の方法にも違いが。 焼き物の焼成方法には酸化焼成と還元焼成という方法があります。酸化焼成は、窯の内部に酸素を十分に取り込み、徐々に温度を上げて青白い炎で焼く方法。還元焼成は、窯の内部の空気の流れをシャットアウトして、不完全燃焼の状態で焼く方法です。炎の色は赤黒く、黒い煙が出る場合もあります。
還元方法の方が難しく、高度な技術を必要とします。 陶器は酸化焼成と還元焼成、どちらの方法でも作ることができるのに対し、磁器は還元焼成だけでしか作れません。つまり、一般的には磁器の方が作るのが難しいということですね。
陶器と磁器の見分け方のポイント
素地の色で見分けよう
陶器は粘土という有機物を多く含むものが主原料なので、素地の色は白、赤、黒、青などさまざま。一方磁器は陶石という有機物の少ない材料から作られるため、素地の色はほぼ白一色です。
磁器はその白さを活かした絵付けがされたり、釉薬をぬってカラフルにしたりと、工夫次第で色合いの美しさを表現することができます。
光の透過性で見分ける
陶器と磁器は日にかざしてみたときの見え方が異なります。陶器は日にかざしても透けませんが、磁器は若干透けて見えます。
細かなひびがあるかどうか
陶器も磁器も多くの場合、釉薬と呼ばれるコーティング剤を塗って焼成します。これにより水がしみ込むのを防ぎ、つや出しの効果が。焼成後の冷却時に、釉薬と表地のあいだにひびのようなものができることがあります。
決してキズということではなく、これをひとつの味わいとして楽しむ方もいらっしゃいます。 陶器の場合、釉薬を厚めに塗るので、そのひびが目視しやすく、磁器の場合は薄めに塗るのでほとんど目視できない、という違いがあります。
名称で見分ける
あとは値札などを見て、焼き物の種類で見分ける方法ですね。 陶器の焼き物で有名なものは、「益子焼き」「備前焼」「信楽焼」「萩焼」「薩摩焼」などがあります。
一方磁器で有名なのは、「砥部焼」「有田焼」「伊万里焼」「九谷焼」などがあります。
陶器と磁器を見分けられれば器選びがもっと楽しくなる!
いかがでしたか?今回は、陶器と磁器の見分け方についてご紹介しました。焼き物の大きな分類である陶器と磁器が見分けられれば、器選びがもっと楽しくなるでしょう。この記事を参考に、焼き物の違いをおさらいしてみてくださいね。
まずは「陶器は土物、磁器は石物」ということを覚えてしまいましょう。そのあとで陶器と磁器の質感の違いや、たたいた音の違いなどを覚えれば、実際に手に取ったときにしっかりと見分けることができるようになると思います。これからもぜひ陶磁器の世界を楽しんでいってくださいね!
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