漆器のお手入れはたいへん?その歴史や特徴を徹底解説!

艶やかな光沢がうつくしい「漆器」。和食料理には欠かせない食器ですが、漆器がいったいどんなものなのか、実際のところをご存知ない方もいらっしゃるかもしれません。

今回は日本人に生まれたのならぜひ知っておきたい「漆器」の歴史や特徴についてご紹介します。同時に漆器のお手入れ方法についても解説するので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

漆器とは

美しさと実用性を兼ね備えた漆器

漆器とは、木や紙などに漆(うるし)と呼ばれる塗料を塗った工芸品のこと。ウルシという樹木から採れる樹液を加工した漆を塗った道具の表面は、黒や朱に輝きとても美麗です。

工芸品としての美しさのみならず、漆を塗ることで道具がとても長持ちするというメリットがあります。それは漆に熱や湿気、酸やアルカリに強いという特性があるから。

さらに、腐敗防止や防虫効果もあります。使うほどに色合いに変化が見られるので、長く愛用する楽しみがあるのも魅力的。

漆器には器以外にもいろいろな道具がある

漆器と聞くと汁物などをいただくときに使うお椀をイメージしがちですが、器以外にも入れ物や楽器、車体など、いろいろなものに用いられています。

漆器は狭義には「漆を塗った食器」の意味なのですが、現在はそれにとらわれず、さまざまな使い方がされているんですね。

漆器の歴史

漆器は日本だけでなく、アジアの各地域で広く見られる工芸品です。日本における歴史は、古くは縄文時代にはじまるとも。石川県にある三引遺跡からは6000年前のものと思われる漆塗りの櫛が見つかっており、縄文時代から漆の利用がはじまっていたことを物語ってます。

現代につらなる漆塗りの技術は、平安時代の皇族・惟喬親王により考案されたといわれています。それから長い時を経て、津軽塗や金沢漆器など、各地で漆工芸の技術が花開いていきました。

現在ではその美しさが世界にも認められ、西洋諸国の工芸作家に「japan」と呼ばれるまでに!悠久の時を紡ぎながら受け継がれた漆工芸の技術は、現在国内外の作家の手によって発展を続けています。

漆器のお手入れはたいへん?漆器を扱うときの注意点をチェック

長く使えば使うほどに味わいが深まる漆器ですが、一方で「扱いやお手入れがたいへん」というイメージも。長く愛用するためにも、丁寧に取り扱いたいものですよね!こちらでは、漆器を扱う際の注意点やお手入れのポイントをご紹介します。

漆器の洗い方

漆器を洗い方の基本は「中性洗剤とスポンジを使って洗い、布巾でさっと拭く」。使用後はなるべく早く洗うようにしましょう。

ポイントはやわらかい布巾でさっと拭いてあげること。自然乾燥させるよりもふきんで拭く方が、水滴のあとも残らず漆器が長持ちしやすくなります。

一方、漆には洗剤が強すぎるため食洗機の使用はNG!急激な温度変化や乾燥が漆器の素材である木にとってよくないので、乾燥機の使用も避けるべきでしょう。

極度の乾燥に注意しよう

漆器を長期保管する際は、極度の乾燥に注意!極度な乾燥は、漆器の素材の木を変形させてしまう可能性があります。さらに、表面の漆塗りがはげてしまうことも。そうなるのを避けるためには、食材を乗せたり手洗いしたりという普段使いをすることが有効です。

適度に水分をなじませることで乾燥が防がれ、長持ちするのだとか。漆器の代表選手である「お重」も、年一回使うだけで長く使えます。

長期保管する場合は、漆器と一緒に水をすこし入れたコップを置くことで乾燥を防ぐことが可能。また、冷蔵庫内に漆器を置くのも要注意。じつは冷蔵庫内部は、室温が低いため非常に乾燥しているんです。冷蔵庫に漆器を長時間置いておくのは避けましょう。

急激な温度変化に注意しよう

急激な温度変化は素材の木の変形や、漆が白く濁る可能性を高めます。温かい汁物を入れるのは問題ありませんが、グツグツと煮立った非常に高温のものを入れるのはNG

一度白くなってしまった漆塗りは元に戻らないので、要注意です。万全を期すのであれば、温かいものを入れる前に漆器をぬるま湯に通して温めておくのがベスト!こうすることで急激な温度変化を予防できます。

蒔絵のついた漆器は丁寧に扱う

漆の上に金粉や銀粉を蒔いて模様を描いたものが「蒔絵」。多くの場合半透明の漆を塗ってカバーしてありますが、なかには金粉をただ乗せただけのものもあります。このタイプの漆器は、こすりすぎてしまうと金粉がはがれてしまうことが。

洗う際は、ガーゼなどやわらかい布でやさしく洗い、拭くときもやわらかい布を用いましょう。蒔絵が描かれている漆器には、漆が厚く色が濃いものが多く、ちょっとしたキズが目立ちやすいのも特徴。洗うときや乾拭きの際は、軽くホコリを落とすことで、キズがつきにくくなります。

なめらかな光沢にうっとり!漆器を長く愛用して経年変化を楽しもう

今回は、漆器の特徴や歴史、扱い方のポイントをご紹介しました。いくつかの注意点を守れば、長く愛用することができる漆器。しかも長い時間が経つことで、独特の味わいが生まれます。お気に入りの漆器を手に入れたら、ぜひ長く使いたいもの。自分と一緒に年を取る漆器を使い、豊かな時間を享受しましょう。